労災事故により病気やケガをしたときは?
 
労災事故(業務災害、通勤災害)が原因で病気やケガをした場合、労災保険の適用となりますが、健康保険を使って治療を受けたりすると後の処理が面倒になってしまいます。したがって、どのようなものが業務災害であり、通勤災害であるかを理解しておくことは必要です。

業務災害は、業務と傷病の因果関係によって決まります。つまり業務と災害との間の因果関係(業務起因性)と災害と傷病の間の因果関係(業務遂行性)の2要素がポイントになってきます。

具体的には、A)事業主の支配下かつ管理下にあって業務に従事しているときの事故、B)事業主の支配下かつ管理下にあるが、業務に従事していないときの事故(休憩時間など)、C)事業主の支配下にあるが、管理下を離れて業務に従事しているときの事故(出張中など)、D)災害製疾病の場合、E)職業性疾病の場合などがあります。

また、通勤災害では、保険給付の対象となる「通勤」とは、「就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」と定義されており、業務の性質を有するものは除かれます。具体的には、通勤途中の交通事故や、不慮の事故などは、通勤災害となりますが、通勤途中に喧嘩をしかけて負傷した場合や自殺の場合などは通勤災害とは認められません。

ここでは、個々の労災事故による給付について見ていきましょう。

療養(補償)給付

  • 労災指定医療機関で治療を受けます。但し、緊急の場合や近くに労災指定病院がなかった場合などには、かかった費用が現金で支給されることもあります。
  • 手続き
    <指定病院等で診療をうけたとき>

      「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」に、負傷年月日・発生状況などについて、事業主の証明を受けたうえで、指定病院等を経由して、所轄労働基準監督署長へ提出します。

    <指定病院以外で治療を受けたとき>)

      費用は一度立て替える必要がありますが、その後、「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」に診療担当者に診療内容の証明を受け、事業主に災害発生状況などの証明を受けたうえで、所轄労働基準監督署長に提出して、費用の支給を受けることができます。

  • 一部負担金:通勤災害の場合のみ、原則として200円が徴収されます。

休業(補償)給付・休業特別支給金

  • 労災事故による療養のために休業した場合、その間の生活補償として、休業(補償)給付と休業特別支給金が休業の第4日目から支給されます。

      - 休業(補償)給付:給付基礎日額(平均賃金)の60%、
      - 休業特別支給金:給付基礎日額(平均賃金)の20%

  • 休業の最初の3日間については、業務災害の場合は、事業主に平均賃金の60%の休業補償の義務があります。

傷病(補償)年金・傷病特別支給金・傷病特別年金

療養のための休業期間が長期化してきた場合、被災労働者及びその家族の生活は苦しくなってきます。そのため、1年6カ月を超えて休業期間が続く場合で、一定の要件に該当する場合には、休業(補償)給付に替えて傷病(補償)年金が支給されることになります。1日毎の補償から1年毎の補償へ切り替わるということです。

  • 補償の種類

      - 傷病(補償)年金

        傷病等級によって、給付基礎日額の245日分から313日分

      - 傷病特別支給金

        一時金で、等級により100万円から114万円

      - 傷病特別年金

        災害を受ける前1年間に得たボーナスの額などを基にした算定基礎日額をもとに、その245日分から313日分 

  • 手続き:被災者が請求をする必要はありません。

障害(補償)給付・障害特別支給金・障害特別年金

労災事故による負傷などで、不幸にも身体に障害が残ってしまった場合、たとえ治癒しても、負傷前と同じように収入を得ることは困難となってしまう場合が多いと考えられます。そのような被災者を救済するために、障害(補償)給付などがあります。

  • 補償の種類

      - 障害(補償)給付

        障害の程度により、一時金と年金に分けられます。一時金;給付基礎日額の56日分から503日分、年金;給付基礎日額の131日分から313日分

      - 障害特別支給金

        一時金で等級により8万円から342万円

      - 障害特別年金

        一時金;算定基礎日額の56日分から503日分、年金;算定基礎日額の131日分から313日分

  • 手続き:被災者の請求により、担当医などが認定して受給できますが、請求してから認定を受けるまで、長い時には3カ月くらいかかります。そのため実際に給付を受けるのは、6カ月後くらいとなります。

介護(補償)給付

障害(補償)年金又は傷病(補償)年金を受ける被災者で、介護を受けている方には、介護(補償)給付が支給されます。民間の有料介護の場合はもちろんですが、親族・友人などによる介護に対しても、支給されます。

  • 給付額:介護の種類とかかった費用によって、月額29,380円から108,300円
  • 手続き:年金証書番号や医師の診断書などを添えて、所轄労働基準監督署長に請求します。また1年に1回定期報告書を提出しなくてはなりません。