労災保険の仕組みと役割は?
 

労災保険制度とは、労働基準法に基づく事業主の補償義務を肩代わりする制度です。そのため保険料は全額会社負担ということになっています。但し、労働基準法における事業主の補償義務には通勤に関する災害は含まれていません。通勤災害に関する労災保険の給付は、労災保険上の拡大解釈とされています。そのため、通勤に関しては、定義が細かく定められています。

保険料を全額企業が負担するので、労災保険加入に関して、企業の側に選択権があるのかというと、そんなことはありません。ですから、会社が労災保険に加入していない、保険料を納付していない、などの場合でも心配はいりません。一人でも労働者(アルバイト・パートタイマーなども含みます)がいる会社は、手続きを行っている、いないにかかわらず、すでに労災保険関係が成立しています。

被災者の申請・請求によって労災保険の給付は行われますので、会社の過失(保険料の未納という)によって、給付に制限を受けることはありません。

労災保険とは

正式名称は、労働者災害補償保険。
労働者が、業務上または通勤途上における負傷、疾病による治療・休業・障害・死亡の場合に、必要な保険給付を行う制度。

保険の対象は

  • 被用者(従業員、パート、アルバイトなど)が対象 
  • 法人の役員は原則加入できない 
  • 自営業者等は対象外(特別加入という制度はある)

保険料の負担は

会社が全額負担。業種によって危険率が違い、料率が異なる 

労働災害の区分(補償の名称)は

  • 業務上災害(補償給付)

      業務上の災害に対しては、事業主に災害補償の責任があるため、「補償」という文字が入っています。業務上災害とは、その傷病が業務と相当因果関係があるかどうかの事実認定の問題で決められますが、一般的には、業務起因性及び業務遂行性の有無が問われることとなります

  • 通勤災害(給付)

      通勤途上の定義は細かく定められています。途中で寄り道をしたり、普段と違う経路を使用した場合、認められない場合があります。例えば、マイカー通勤をしている人が、別の勤務先に勤める配偶者を迎えに行くため、5分(1.5km)ほど離れた配偶者の勤務先に向かう途中にあった事故は、通勤災害と認められませんでした。迂回距離が3km(往復)は、著しく遠回りと認められたのが理由でした。また、同じような例で、自分の勤務場所を通り越して、450mほど走行して、配偶者を勤務先で下車させて、自分の勤務先に戻る途中の事故は通勤災害とされました。この場合、夫婦の勤務先が同一方向にあり、距離も近いことから、2人の通勤を相乗りで行うことに正当性が認められたのです

保険給付の種類は

  • 療養(補償)給付

      業務上又は通勤途上の災害により傷病を被ったとき

  • 休業(補償)給付

      傷病の療養のため労働することができないために、賃金を受けることができないとき(4日目から)

  • 傷病(補償)年金

      傷病が療養開始から1年6カ月を経過しても治らないとき

  • 介護(補償)給付

      傷病(補償)年金又は障害(補償)年金を受けている方で介護を受けているとき

  • 障害(補償)給付

      傷病が治ったときに一定の障害が残ったとき

  • 遺族(補償)給付

      傷病により死亡したとき、一定の遺族に対して支給

  • 葬祭料(葬祭給付)

      死亡したとき、実際に葬祭を行う方に支給

関係機関は

  • 所轄官庁

      厚生労働省労働基準局

  • 手続関連機関

      労働基準監督署、労災病院、労災指定病院